環境・まちづくり

2017年1月29日 (日)

2017 但馬の自然を考える会 事例発表

毎年おこなわれる但馬の自然を考える事例発表会に参加しました。
3団体による事例発表と香住高校の高校生による「ラムサール条約湿地の調査・保全活動」の発表もあって、山の会や山野草の会、野鳥の会、ジオの関係者などのお顔が多く見られました。
事例発表は「論より証拠」、パソコンとプロジェクターを活用し写真が多かったことで理解しやすいものでした。
                                    発表風景
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「西但馬の自然を考える会」から、香美町小代渓谷の稀少植物についてたくさん紹介があり、豊かな自然と多様な生物の存在に驚かされました。
ある稀少植物は「花を咲かせると存在が判り、盗掘に遭うので咲く前に摘み取ってしまう」という住民の言葉が印象的でした。
 
「南但馬の自然を守る会」からはカタクリの保護活動の報告で、但馬では三川山に次いで2例目の存在が朝来市立脇で確認されました。
カタクリは兵庫県のレッドデータCランク準絶滅危惧だそうです。
当時町道整備工事が予定されたこともあって、工事期間中は移転などの保護措置をとえ、り、その後はカタクリが生育できる環境作りに取り組まれました。
落葉広葉樹林下での環境づくりも進められる中で、新たな場所に進出が見られる一方でシカによる食害も出て、鹿網による生育地の囲い込みがなされています。
 
兵庫ウスイロヒョウモンモドキを守る会」からは、生息地である中国山地の全域から絶滅が進み、僅かに残った養父市高丸山えの保護活動が報告されました。
10円玉大のヒョウ柄の羽をもつ小さな蝶で、環境省のレッドリストでは絶滅の危険性が極めて高い「絶滅危惧1A類」 に指定されています。
生息地である草原の減少、草刈りがされなくなったこと、エサとするオミナエシが鹿食害などで減ったこと、すべて人の生活と密接に繋がっていることがわかります。
守る会など保護団体で餌となる植物をシカ食害から守る鹿網を設置したり、オミナエシの繁殖活動、チョウから採卵し人工飼育をするなどの活動で、昨年7月に2年ぶりに確認されたことが報告されました。
 
稀少動植物の生育環境が人間の経済や生活の変化に大きく影響されていることと、シカによる食害が大きな問題となっています。
但馬の山歩きをしていて、下草やササが生い茂っている場所が丸ハダカになって遠くまで見通しきくのに驚かされます。
 
「コウノトリも含めて稀少動植物をコロニー化して守るだけでは問題解決にならない」と、長年シカ被害を調査し警鐘を鳴らし続けているTさん。
さっそく、今朝の新聞記事、「円山川右岸道路の斜面が崩れた」ことはシカよる食害と踏み荒らしに起因するものに違いないと電話してこられました。
 
2014年に開催された「但馬のシカ被害を考える会」に参加したとき、発表の中の「森が壊れてきている」「人によって壊されつつある自然にシカがとどめを刺している」この言葉が胸に響きます。
                                      ( izayamiki )
 
 

2017年1月26日 (木)

但馬の自然を考える会 事例発表会

「但馬は県下でもっとも自然環境に恵まれていますが、それでも近年は絶滅が危惧される動植物が増えています。その中でも、生物多様性の保全や育成活動をがんばっている活動団体がおられます。(略)」

そんな活動の発表会が1月28日(土)に開催されます。
   案内チラシ(クリックで拡大します)
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今回は「神鍋山野草を愛でる会」の事例発表はありませんが、興味深い顔ぶれなので参加するつもりです。
                                    ( izayamiki )
 

2016年1月30日 (土)

2016 但馬の自然を考える事例発表会

但馬の自然を考える事例発表会が30日豊岡市民会館で開催されました。
3団体による事例発表と香住・豊岡総合の2校の高校生による「ラムサール条約湿地の調査・保全活動」の発表もあって、参加者が100人弱とほぼ満員の盛況でした。
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「神鍋山野草を愛でる会」の泉会長が大岡山を中心とする観察で出会った花々の紹介、蘇武・神鍋や阿瀬渓谷での鹿被害の現状、特定外来植物除去や希少種を守る活動を報告しました。

発表テーマ                    春の草花
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夏の草花                     秋の草花
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活動の中心だった大岡山はバブル期にゴルフ場や別荘開発が進みましたが、阿瀬や神鍋高原に較べてシカ被害が少ないとされていて、未だ多様な自然が残っています。

今後被害の拡大が予想される中、実態を調査し保全活動に役立てればとの願いもありました。春夏秋の月2回の調査で、蕾から花から実と一年を通じた観察が行われ、多様な草花と希少種が観察されました。
笹など下草が無くなった神鍋高原の山  絶滅寸前のサンヨウブシ
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保全のため柵で囲う活動          特定外来種の除去活動
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頑張って命をつなぐ在来種
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「環境ネット出石」と「桃池の自然を守る会」の事例発表に続き、「高校生によるラムサール湿地の保全調査活動」として、香住高等学校の戸島湿地魚類の調査、豊岡総合高校の湿地生物のモニタリング調査や保全活、豊岡総合高校のインターアクトクラブからは他高校と連携した環境保全活動が報告されました。
香住高校の魚類調査             豊岡総合高校インターアクトクラブ
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いずれも生き物の現場調査を通じて外来種の繁殖や環境の悪化に気づき、保全活動に進んでいることはすばらしいことで、早くから但馬の自然に触れ、保全活動に参加する高校生には頼もしさを感じました。
 
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2014年11月24日 (月)

神鍋高原の歴史と自然を考えるシンポジウムの報告

「神鍋山野草を愛でる会」案内人の泉さんから、このブログでも紹介した「神鍋高原の歴史と自然を考えるシンポジウム」の報告が届きました。
 
●23日神鍋高原の歴史と自然を考えるシンポジューム報告●
60名の参加がありました。
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<神鍋高原の歴史から何を学ぶか 水嶋 元>
 
西気地区集落の神社には巨木が沢山あり戦国時代に翻弄されずに、農耕民族として平和に暮らしてきたが、大正末期にスキーが導入されその経済効果が大きすぎたために衰退
後の後遺症から抜け切れていない。
あまりにも金儲け中心になりすぎていて別荘に来る人の意見やこの地から出た有名人から意見を聞き学ぶことが良い。
自然環境の豊かさ 水、雪、植物を生かしたおもてなしが力になる。
 
<阿瀬 金山村の最後の住民の記憶   富山 利一>
 
戦後9家族が残り 炭焼きと狩猟で生活をしていた。
昭和30年村総出の労力と技術、資材は関電が提供で電気が完成した。
昼夜とわず電気は付けっぱなしで内外明々として別世界のようで、NHKテレビが寄付されて娯楽を楽しんだ。
離村の決断は子供の教育問題が大きく影響したと語られ、富山様の話は涙なしには聞かれませんでした。
 
<神鍋高原の森や山野草を観察して
         鹿、猪被害からどう対処するか  泉 鐘八郎  > 
 
 
2014年13回阿瀬渓谷を観察して トリカブト、ザゼンソウが絶滅していく姿を見届けた報告。
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蘇武、三川山でも同じ被害広がる。
鹿が食べない植物を、このまま放置すると山には10種程度の山野草に限定される危機をフッキソウから報告。
最後に緊急に行動に移す提言。
 ①各集落3人以上の鹿捕獲隊を結成、自らの村は住民で守る
   ワナによる捕獲が一番効率が良い。
 ②兵庫で一番の自然環境を生かした観光資源を生み出す
 ③鹿流通ルートの確立をする
 ④県、市、猟友会と一緒になって出来る集落から立ち上がる
   ピンチをチャンスにし地域活性化の起爆剤にし但馬の
   手本になるような取り組みを始めようと訴える。
 

2014年11月17日 (月)

神鍋高原の歴史と自然を考えるシンポジウム

平成22年に「山陰海岸世界ジオパーク」の一部として指定された神鍋高原の歴史や地形と豊かで多様な自然環境を学ぶシンポジウムが開催されます。

近年シカの増殖によって生物を始め自然環境が破壊されつつあります。
第2部で愛でる会の泉副会長が「神鍋高原の愛らしい植物たち」のテーマで報告します。
西気区長会と神鍋山野草を愛でる会の共催です。
 
・日時 11月23日(日) 13:00~16:30まで
・場所 神鍋高原 西気コミュニティセンター(日高町栗栖野)
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案内チラシは  をクリックしてください
 

2014年3月 8日 (土)

但馬のシカ被害を考える会

勝手に名前をつけましたが、正式には「氷ノ山周辺の自然を考える報告会」、主催は「新さわやかな環境づくり但馬地域行動計画推進協議会」で、但馬県民局と鳥取県の共催。
なんと長い名前でしょうね。
会場は日高町神鍋高原の西気コミュニティセンター、兵庫県各地や鳥取県からの参加者で会場は満員、シカ被害問題の関心の高さが分かります。
会場                 レジュメ
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基調報告として、「但馬地域におけるシカ生息状況の概要」を兵庫県立大の藤木大介准教授が、「シカによる植物被害」をテーマに、コウノトリ市民研究所の菅村定昌副代表からありました。

藤木氏は「2000年初頭に南但方面に多かったシカが香美町や蘇武・神鍋に広がり、但馬全域に増えてきていて、高所のシカが麓近くで越冬している。シカが森林に与える影響は、樹皮や植物への食害で下層植生が衰退し、裸地化による土壌浸食や植物多様性が失われる」など、森が壊れる様子が話されました。
また適正密度管理として、兵庫県が目標としている3万頭以上の捕獲が必要で、全体では達成しているものの地域格差があり、但馬北部の捕獲が少ないそうです。
但馬地域別捕獲目標と実績   今後の課題
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菅村氏は奥山・川・海・高原に分けて、「稀少植物や固有種など生物多様性を含め地域の自然に対し、河川改修や里山の減少・登山者増加など人による被害の上に、いまシカがとどめを刺している」現状が話されました。

次に自然保護の取り組みを進めている5団体の代表から活動報告がありました。
①「南但馬の自然を考える会」の西垣さんから、氷ノ山古生沼・古千本湿原の固有種希少種が湿原の乾燥化とシカの食害で衰退しているのと、山頂のトイレ休憩所・登山客の増加による問題に対し、立ち入り制限ロープ張りやシカ網の設置などの保護活動が報告されました。

②「兵庫ウスイロモドキを守る会」近藤さんから、鉢高原に生息しているウスイロモドキ(ヒョウモン蝶類)が餌とするオミナエシの減少や人が山には入らなくなり草刈りが減少したことなど草原環境の変化と保護活動が報告されました。

③鳥取県「氷ノ山ネイチャークラブ」山本さんからは氷ノ山周辺のコキンバイ、サンカヨウ、キャラボク等へのシカ被害と防護柵や登山道の崩れ防止の階段設置の活動。
捕獲したシカの肉と皮の有効利用にも触れられました。

④鳥取県「ニホンジカによる食害から氷ノ山の高山植物を守る会」の戸井さんから氷ノ山山腹のサンカヨウ群落・キンバイソウへの被害だけでなく、檜の樹皮食害や鉄道及び車輌への衝突の被害が、併せて電気柵の設置、くくり罠による捕獲等の活動も報告されました。

⑤地元「神鍋山野草を愛でる会」案内人泉さんから、5年にわたる神鍋高原の観察で見つけた自然植物850種と希少種の観察と保護活動が報告されました。
これら植物の写真は道の駅神鍋高原のギャラリーに展示してありますが、一部のものは絶滅しているかもしれないそうです。
神鍋高原ジオエリアに自生する多様な植物を愛でつつ、貴重種も含め人やシカから守る活動が進んでいます。

続いて会長の田中さんが「神鍋高原を中心とするシカ生息調査の結果」として昨年9月から12月に渡る目撃調査結果を報告されました。
評価では広域基幹林道(蘇武妙見線)もあり、神鍋高原周辺でシカが多数住みついていて降雪前に山から下って山麓で冬越ししていることが報告されました。
広域的に見るとシカが南部から北部に移行していると推定され、被害が認められない新温泉町以外で笹など下層の植物に被害が広がり、土壌のくずれも認められるということでした。
愛でる会の活動          シカ生息調査報告
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各団体の報告から分かるように、豊かといわれる但馬の自然のなかで生物多様性が人や獣(特にシカ)によって被害を受けている実態、それに対する保護団体の活動とそれでは追いつかない現状が分かってきます。
シカ被害といえば里の農作物への被害が知られていますが、それだけでなく「森が壊れてきている」「人によって壊されつつある自然にシカがとどめを刺している」この言葉が胸に響きます。
研究者や環境保護団体・自然愛好家・住民団体・個人がそれぞれの立場で、自然環境保護を考えるよい機会となりました。

シカの適正密度を保つにはロープやシカ網・電気柵の設置ではなく、狩猟やワナによる捕獲が欠かせません。
次は、3万頭超の捕獲された鹿が廃棄処分されている現状を憂い、鹿肉を食べる活動を続けている「但馬もみじの会」をレポートします。


2014年2月22日 (土)

但馬の自然を考える事例発表会

自然環境に恵まれている但馬ですが、近年絶滅が危惧される動植物が増えています。
その中で生物多様性の保全や育成活動を行っている団体の事例が発表されました。
高校生によるラムサール湿地での活動
P2220001_3発表は「三川権現等でのシャクナゲ保存活動」「矢田川での保存活動」「神鍋高原での稀少山野草の調査・保全活動」「高校生によるラムサール湿地調査・保全活動」の4団体です。
会場は自然保護に関心を持つ団体や個人の参加で満員、用意された資料が足りなくなるほどでした。
高校生による湿地調査で、絶滅危惧種に指定されているヒヌマイトトンボが確認されている様子は、但馬の自然の豊かさを物語っています。
「神鍋山野草を愛でる会」案内人 泉さんの発表
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「この会は平成21年に地元会員20名で発足して以来5年が経過致しました。3年前にジオパークに承認されたのを機会に神鍋高原の自然豊かな場所を自然環境のままで一定のエリアを定期的に観察する方法にしてから、1年目400種、2年目300種、3年目150種と神鍋高原で見られる野草花も今日までに850種も楽しんで会員も52名まで増え、観察した花も写真で残し道の駅に展示しどなたでも楽しんで頂ける様にしています。

しかしながら、発足当時は考えもつかなかった問題も出てきました。
花の名前を図鑑等で調べても解らない時の最終的な相談場所が無かった事、観察した後のタジマタムラソウが誰かに盗掘された時の悲しみ、山野草ブームによる大掛かりなコシアブラ採取被害、ゴミ問題、外来種問題・・等々です。
又、最近では増えすぎた鹿の被害が深刻で、渓谷のザゼンソウやサンカヨウ等に大きな被害が出ています。さらに住民の方々の中には山野草は雑草として見ている人も多く、モミジを植えた事でアケボノソウがその場所で消えてしまった事、又観光地として美しく見せる為、花が咲く前に刈り取るカセンソウ等新たな悩みも増えました。

その中にあって昨年は神鍋高原で18年ぶりに発見したナツエビネや、結成して初めて見るツチアケビを猪や鹿被害と盗掘から守るため地主の了解の元、貴重種は囲いをして守りました。
会員も兵庫県下を始め鳥取県からも集まり、昨年全行事に参加された1名の会員が初めて出ました。

今年も清滝地区や、阿瀬渓谷を地元の方と協力して山野草の愛で方、又その自然環境を守る大切さを発信して草花を大切に愛でる取り組みをこの地から広めてゆきたいと思っています。
3月~11月の期間月2回(第2と第4火曜日)の行事を会員の声を聞きながら楽しみ、一つでも名前を覚え、心身共にリフレッシュし活動を続けて行きます。」
                                       
配布された「1月分花カレンダー」
Img_20140223_0001_4 それぞれ熱心な活動が報告されましたが、①但馬全域に広がる深刻な鹿被害②保全再生活動の中で外来種の繁殖や遠隔地からの苗の移植で起こる生物多様性の変化③ゴミの不法投棄、植物の持ち帰りなどの問題点が指摘されました。


 
 

2013年8月 1日 (木)

蘇武林道のシカ食害

神鍋山野草を愛でる会の田中会長と案内人の泉さんから、シカによる食害のレポートが入りましたので紹介します。
「28日会長と私二人で名色~金山峠までの蘇武林道を植物調査にでかけて、異常な光景に出合いました。神鍋高原では初めて鹿よけネットに掛った鹿を発見してから、次々に繰り広げる姿に愕然とし直ちにA4にまとめました。多くの人にこの状態を知って頂きたいと思います。(泉 鐘八郎)」 (クリックで拡大します)
  
 <シカ被害レポート>
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拡大版 → 「sobu-sikahigai.pdf」をダウンロード
   

 

2013年7月14日 (日)

神鍋高原 山野草 獣被害

多様な自然や植物が残る神鍋高原で、希少種のツチアケビが見つかった記事が13日地元紙但馬版に掲載されました。
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山野草を愛でる会の7月例会で、記事になる前に一緒に確認させてもらいました。
近くには鹿の食べ後や寝床まであったので、愛でる会役員で柵を設けたとのこと。
ツチアケビの花
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貴重・希少種はもちろんですが、植物を痛めつけるものには山野草マニアや薬草採取業者等による人害と鹿や猪による獣害が無視できなくなっています。
獣害といえば田や畑を耕す人間が被害者ですが、鹿の繁殖で森や植物が被害者になって生態系が崩れつつあります。
貴重なツチアケビの発見とともに、草花の種(しゅ)が激減している様子を記事は伝えています。
   

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